あっせん代理とは?

解雇、雇止め、配置転換・出向・昇格、労働条件の不利益変更、残業代の不払い、セクハラなど、個々の労働者と事業主との間の紛争(個別労働紛争)が増加しています。

裁判をおこす。というのが一般的な認識ですが裁判は多くの時間と費用がかかります。

そこで、これら個別労働契約を迅速に解決するために個別労働関係紛争解決促進法が施行されました。あっせん代理人とは、この法律に基づいて都道府県労働局(紛争調整委員会)等が行う「あっせん」における代理人のことです。(特定社会保険労務士)

「あっせん」とは、あっせん委員が双方の言い分を聴き、
歩み寄りを促して和解へ導く制度です。

労働者からも事業主からも申立てができます。

【特定社会保険労務士による紛争解決手続代理業務の内容】

  1. 個別労働関係紛争について厚生労働大臣が指定する団体が行う裁判外紛争解決手続の代理(紛争価額が60万円を超える事件は弁護士の共同受任が必要)
  2.  個別労働関係紛争解決促進法に基づき都道府県労働局が行うあっせんの手続の代理
  3.  男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に基づき都道府県労働局が行う調停の手続の代理
  4.  個別労働関係紛争について都道府県労働委員会が行うあっせんの手続の代理
  5.  上記代理業務には、依頼者の紛争の相手方との和解のための交渉及び和解契約の締結の代理を含む。

あっせんの申し立て例

[従業員から]

  • 経営不振という理由で解雇されたが、その後会社は社員を雇っている。納得できない解雇に対して補償金の支払いを請求する。
  • 月額23万円の約束で勤務したが、途中から売り上げが落ちたという理由で18万円になった。
    その後売り上げはほぼ元に戻ったので給料を戻すよう求めたが上げてくれない。給料を23万円に戻すことと差額を請求する。
  • 仕事について意見を述べたことに対して配置転換させられ、そのために退職せざるを得なくなったので、補償金を請求する。
  • 上司から度重なる退職勧奨や嫌がらせを受けたことにより退職を余儀なくされたので、補償金を請求する。
  • 身に覚えのない理由により解雇されたので、解雇取り消しを求める。
  • 入社時雇用契約期間についての説明はなく、6ヶ月経過した際に突然雇い止めを通告されたため、補償金を請求する。
  • 上司の嫌がらせが原因で体調を崩し、退職せざるを得なくなったことに対し慰謝料を請求する。
  • 契約更新時に賃金の引下げを言い渡されたので、生活に困ると拒否したが減額された。賃金を元に戻 すことと差額を請求する。
  • 1年近くにわたり、上司及び男性社員からセクハラ発言があり、会社に対策を講じるよう申し出た。会社はそのまま放置したため、出勤不可能となったので会社に対して謝罪と休業補償および慰謝料を請求する。

[事業主から]

  • 10年以上勤務した従業員と、退職金(規定変更につき減額)について争いになったのであっせんを申立てる。
  • 作業ミスの多い従業員に対してパートへの身分変更と配置転換をしようとしたが、従業員が応じないのであっせんを申立てる。
  • 店を閉店するため1ヶ月分の賃金と3万円の慰労金を支払い解雇すると申し出たところ、さらに3ヶ月分の賃金を要求されたためあっせんを申立てる。

あっせん申請の流れ

1.あっせん申請書の提出

あっせん申請は、紛争が現に起きている事業所で働く(または働いていた)個々の労働者及びその事業主のいずれからでも申請することができ、事業所が所在する都道府県労働局等にあっせん申請書を提出することになります。なお、あっせん申請は、紛争当事者からの依頼により、労務管理の専門家として「特定社会保険労務士」を代理人とすることができ、代理人である特定社会保険労務士は、依頼人の意見主張を聴き、紛争の解決を図ることを目的に、申請書の作成および申請を行うことができます。

2.労働者及び事業主双方に事前調査

あっせん申請書に基づき、労働者及び事業主の双方から紛争の経過と主張を聴くなど事前調査が行われます。この調査は、申請者に対しては主にあっせん申請時に、被申請者に対しては申請後できるだけ速やかに実施されます。なお、調査の際には、労働者及び事業主双方ともに資料の提出を求められることがあります。

3.あっせん作業開始

あっせん委員は、労働者及び事業主双方から個別に事情を聴き、その主張や意見について協議を行った上で労働者及び事業主双方に対する説得、意向の打診、紛争解決に向けての方針や解決案(「あっせん案」といいます。)の提示などを行い、紛争の解決を促します。

4.あっせんの終結

以下の場合にあっせんは終結します。

①解決
労働者及び事業主双方があっせん案を受諾した場合や、あっせん員の助言などにより当事者双方が自主的に話し合うことを了解するなど、紛争事項について合意書等を締結した場合にあっせんは解決して終了します。

②打切り
被申請者があっせんに応じないときや、労働者及び事業主双方に解決に向けた歩み寄りがみられない場合等、あっせん委員が紛争解決の見込みがないと判断したときは、あっせんは打切られて終了します。

③取下げ
労働者及び事業主双方が「あっせん」を行う前に紛争を自主的に解決した場合等で、申請者があっせん申請取下書を提出した場合は、あっせんは申請者から取下げられて終了します。